子どもの未来を拓く「非認知能力」とは?

教育
Schoolgirl standing in front of a blackboard, wearing a backpack and flying with a chalk-drawn parachute

 さのプログラミング教室では、「AI時代を生き抜く能力を育む教室」を掲げていますが、そもそも、「非認知能力ってなんだろう?」って思いませんか?今日は、近年教育界で注目を集めている「非認知能力」について、わかりやすくお話しします。

認知能力と非認知能力の違い

「非」認知能力があるなら、「認知能力」もありそうですよね。
はい、あるんです!ではこれらの違いは何でしょう。

この場合の「認知」とは【テストなどで比較的簡単に計測しやすい】という意味です。ですから、「非認知」といえども、計測できないわけではないのです。ただ、テスト・計測が複雑なので、学校では計測することが難しい、ということです。

  • 認知能力:学力テストなどで測れる能力。例えば、読み書き、計算、暗記など。
  • 非認知能力:数値化しにくい個人の特性や態度。例えば、忍耐力、協調性、自制心など。

非認知能力は「社会情動的スキル」とも呼ばれ、人生の様々な場面で重要な役割を果たします。

なぜ非認知能力が注目されているのか

非認知能力が注目される理由はいくつかあります。

将来の成功との関連性

 研究により、非認知能力が高い子どもは、大人になってから成功しやすいことがわかっています。

この点を裏付ける代表的な研究として、ノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・ヘックマンが関わった「ペリー就学前プロジェクト」があります。この研究では、質の高い就学前教育を受けた子どもたちを40年以上追跡調査しました。
 その結果、プログラム参加者は成人後も高い収入を得て、犯罪率が低く、安定した家族関係を築く傾向が見られました。
 特に注目すべきは、このプログラムが単なる学力向上ではなく、忍耐力や自制心といった非認知能力の育成に重点を置いていたことです。

AI時代への対応

 AIが発達する中、人間らしい感性や創造性が一層重要になっています。

 世界経済フォーラムの「The Future of Jobs Report 2020」によると、2025年までに人工知能やオートメーションの進化により、8500万の仕事が人間からAIに置き換わる一方で、9700万の新しい役割が創出されると予測されています。

 この新しい役割には、複雑な問題解決能力、創造性、柔軟性といった人間特有の能力が求められます。これらは、まさに非認知能力が基盤となるスキルです。

生涯にわたる学習の基礎

 非認知能力は、新しいことを学び続ける力の土台となります。

 OECDの報告書「Skills for Social Progress: The Power of Social and Emotional Skills」(2015)では、社会情動的スキル(非認知能力)が、学習への意欲や学習効率と強い相関関係にあることが示されています。

 例えば、目標に向かって粘り強く取り組む力や、好奇心旺盛に新しいことに挑戦する姿勢は、生涯学習の基礎となります。また、この報告書では、これらのスキルが学業成績の向上だけでなく、健康的なライフスタイルの維持や、市民としての社会参加にも良い影響を与えることが指摘されています。


 これらの研究や報告は、非認知能力が子どもたちの将来の成功急速に変化する社会への適応、そして生涯にわたる学習と成長に重要な役割を果たすことを示しています。

 そのため、教育や子育ての場で非認知能力の育成に注目が集まっているのです。

非認知能力を伸ばすには

 では、非認知能力は、いつ、どのように育てると良いのでしょうか。

いつから始めるべき?

  • 早ければ早いほど良いですが、遅すぎることはありません。
  • 幼児期から小学生時代は特に重要な時期です。

具体的な方法

  1. 自主性を尊重する
    • 子どもの意見を聞き、選択する機会を与えましょう。
    • 失敗しても大丈夫な環境を作りましょう。
  2. 感情の理解と表現を助ける
    • 子どもの気持ちを言葉にして返してあげましょう。
    • 感情を表現する語彙を増やす手伝いをしましょう。
  3. 協調性を育む
    • 家族や友達と協力する機会を作りましょう。
    • チームスポーツや集団活動への参加を促しましょう。
  4. 粘り強さを育てる
    • 難しいことにも挑戦する姿勢を褒めましょう。
    • 長期的な目標を立てる手伝いをしましょう。
  5. 創造性を刺激する
    • 芸術活動や自由な遊びの時間を大切にしましょう。
    • 「どうしてそう思うの?」と質問し、考える力を育てましょう。

 非認知能力の育成は、特別なことをする必要はありません。日々の生活の中で、子どもとの関わり方を少し意識するだけで、大きな違いが生まれます。

子どもの可能性を信じ、長い目で見守ることが大切です。一緒に成長を楽しみましょう!

タイトルとURLをコピーしました